(写真は、カフェクリスティの裏口ドア)
本日は、ハヤカワミステリ文庫を有する早川書房さんに敬意を表して、
ハヤカワ文庫のこの作品を紹介します。
これは古い方の装丁ですが、私が持っているのはこちら。
そして、こちらの方が好きです。
(新しい方の装丁は、下の方に載せています。比べてみてください。)
さて、意外かもしれませんが、これはミステリーではありません。
もともと、この作品は、アガサの別ペンネーム、
「メアリ=ウエストマコット」名義で執筆されたもの。
現代では、アガサクリスティ作品とされているようです。
ストーリーは、
主人公の女性ジョーンが、急病の娘を見舞いにバクダッドへ行く。
しかし、帰り道で、砂漠の雨季に当たってしまい、
線路が流れて汽車が数日遅れる。
砂漠で予定外の足止めを食ったジョーンは、
持っていた本も読みつくしてしまい、
何もすることがなくなってしまう。
そして、蓋をしていた様々な思い出、
気づかないようにしていたことが、
頭の中をかすめるようになる。
まるで、穴からトカゲがちらりと顔をのぞかせるように。
次第にそれらの思い出から逃れられなくなり、
なぜ、忘れていた(ことにして)いたのか、
なぜ、思い出してしまったのか、
想いを馳せて行くという形で、
自分と向き合っていくジョーン。
そしてジョーンが気づいたのは、
「自分は独りよがりで、周りを幸せにすることは考えず、
自分の意見を押し付けていただけだった。
そして、そのせいで、周りの人を不幸にしていた。
自分は、有能で、家族に愛されていて、幸せな主婦、
と思っていたのは自分だけ。
家族にすら煙たがられており、本当は誰にも愛されていない。
自分はひとりぼっちなのだ」
ということ。
特に、子供のためだと言って、夫がやりたい仕事に反対し、
望んでいない「金が儲かる」方の仕事をやらせ、
人生を台無しにさせてしまったことに気づき、
激しい後悔に駆られる。
家に帰ったら、真っ先に夫に謝らなくては、、、
と、旅の間は思っていたが、家に近づくにつれ、
だんだんいつもの自分に戻ってしまい、
結局、夫に謝らず、今までの自分でいることを選択する、
というもの。
ラストは、妻が帰ってきた家で、夫が、
「休暇もついに終わりか」と小声でつぶやき、心の中で、
「君はひとりぼっちだ。これからもおそらく。
しかし、ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように。」
と、妻に同情する独白で終わります。
私のブログを読んでくださっている方は、
心理学、コーチングなどを学んでいる方もいらっしゃると思いますが、
そういう方には、特に面白く読めると思います。
人間はそう簡単には変われない、
特に独りよがりな人間ならなおさら。とか、
愛するとはどういうことか、とか、
支配的な親の子供がどうなるか、など。
現代の家族問題にも通ずるテーマがたくさんあります。
心理ドラマが得意なクリスティーならではの作品。
ミステリーが苦手な人にもオススメです。
あとは、ちょっと読み応えのある、中身の濃い小説を探している方。
でも、興味がなくても、強くおすすめしたい!のが本音です(笑)
ぜひ、ご一読を。
シャーロックカフェは期間限定のイベントで、
平常、このお店は、カフェクリスティというカフェだそうです。
カフェクリスティは、もちろん、ミステリの女王、
アガサ=クリスティにちなんだ名前。
レジ前にも、アガサ=クリスティ作品がいくつか置いてありました。
ちなみに、新しい方の装丁は、これ。
よりカジュアルで、手に取りやすい雰囲気ですね。
このブログの記事の、ロングバージョンを、
明日配信のメルマガでお読みいただけます。
(今書いているので、同時に発行できない!笑)
気になる方は、下から登録どうぞ^^
メルマガ発行しています。
登録はこちら↓
http://www.reservestock.jp/subscribe/64064
不定期発行、
ご案内等あれば、メルマガで優先的に流します。
登録してお待ちください。
携帯アドレスには、メルマガ送信ができません。
登録は、PCのアドレス(Gmail等)でお願いします。