快楽至上主義者の日常〜〜薫子's blog

自然体でのんびり、カラダとココロのゆとり生活。

シャーロックカフェに行ってきました。番外編

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(写真は、カフェクリスティの裏口ドア)

 

本日は、ハヤカワミステリ文庫を有する早川書房さんに敬意を表して、

ハヤカワ文庫のこの作品を紹介します。

 

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)

 

 

これは古い方の装丁ですが、私が持っているのはこちら。

そして、こちらの方が好きです。

(新しい方の装丁は、下の方に載せています。比べてみてください。)

 

 

さて、意外かもしれませんが、これはミステリーではありません。

もともと、この作品は、アガサの別ペンネーム、

「メアリ=ウエストマコット」名義で執筆されたもの。

現代では、アガサクリスティ作品とされているようです。

 

ストーリーは、

主人公の女性ジョーンが、急病の娘を見舞いにバクダッドへ行く。

しかし、帰り道で、砂漠の雨季に当たってしまい、

線路が流れて汽車が数日遅れる。

砂漠で予定外の足止めを食ったジョーンは、

持っていた本も読みつくしてしまい、

何もすることがなくなってしまう。

そして、蓋をしていた様々な思い出、

気づかないようにしていたことが、

頭の中をかすめるようになる。

まるで、穴からトカゲがちらりと顔をのぞかせるように。

次第にそれらの思い出から逃れられなくなり、

なぜ、忘れていた(ことにして)いたのか、

なぜ、思い出してしまったのか、

想いを馳せて行くという形で、

自分と向き合っていくジョーン。

 

そしてジョーンが気づいたのは、

「自分は独りよがりで、周りを幸せにすることは考えず、

自分の意見を押し付けていただけだった。

そして、そのせいで、周りの人を不幸にしていた。

自分は、有能で、家族に愛されていて、幸せな主婦、

と思っていたのは自分だけ。

家族にすら煙たがられており、本当は誰にも愛されていない。

自分はひとりぼっちなのだ」

ということ。

 

特に、子供のためだと言って、夫がやりたい仕事に反対し、

望んでいない「金が儲かる」方の仕事をやらせ、

人生を台無しにさせてしまったことに気づき、

激しい後悔に駆られる。

家に帰ったら、真っ先に夫に謝らなくては、、、

と、旅の間は思っていたが、家に近づくにつれ、

だんだんいつもの自分に戻ってしまい、

結局、夫に謝らず、今までの自分でいることを選択する、

というもの。

 

ラストは、妻が帰ってきた家で、夫が、

「休暇もついに終わりか」と小声でつぶやき、心の中で、

「君はひとりぼっちだ。これからもおそらく。

しかし、ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように。」

と、妻に同情する独白で終わります。

 

私のブログを読んでくださっている方は、

心理学、コーチングなどを学んでいる方もいらっしゃると思いますが、

そういう方には、特に面白く読めると思います。

 

人間はそう簡単には変われない、

特に独りよがりな人間ならなおさら。とか、

愛するとはどういうことか、とか、

支配的な親の子供がどうなるか、など。

現代の家族問題にも通ずるテーマがたくさんあります。

 

心理ドラマが得意なクリスティーならではの作品。

ミステリーが苦手な人にもオススメです。

あとは、ちょっと読み応えのある、中身の濃い小説を探している方。

でも、興味がなくても、強くおすすめしたい!のが本音です(笑)

 

ぜひ、ご一読を。

 

 シャーロックカフェは期間限定のイベントで、

平常、このお店は、カフェクリスティというカフェだそうです。

カフェクリスティは、もちろん、ミステリの女王、

アガサ=クリスティにちなんだ名前。

レジ前にも、アガサ=クリスティ作品がいくつか置いてありました。

 

 ちなみに、新しい方の装丁は、これ。

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

よりカジュアルで、手に取りやすい雰囲気ですね。

 

 

 

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